愛犬が病気やケガ、手術後の舐め壊し防止などでエリザベスカラーを装着しなければならない時、その姿を見るのは飼い主さんにとってもつらいものですよね。
特に、硬いプラスチック製のカラーは、犬にとって視界が遮られたり、動きが制限されたりするため、大きなストレスの原因となることがあります。
「愛犬がケガや手術でエリザベスカラーを付けることになったけど、すごく嫌がって可哀想」
「プラスチック製のカラーは、ご飯を食べにくそうだし、ぶつかってストレスになっていそう」
「もっと柔らかくて、犬に優しいエリザベスカラーってないのかな?できれば手作りで、家にあるもので簡単に作れたら嬉しいんだけど」
そんな時、「タオル」を使って手作りできるエリザベスカラーがあるのをご存知でしょうか?
- タオルで犬のエリザベスカラーを手作りするメリットとは
- 知っておくべき!タオル製エリザベスカラーの注意点とデメリット
- 【写真で解説】簡単なタオル製エリザベスカラーの作り方
- 手作りエリザベスカラーを犬に慣れさせるコツ
- どんな時にタオル製エリザベスカラーが有効?
- 市販の柔らかいエリザベスカラーという選択肢
この記事を読むと、愛犬のストレスを軽減できる、タオルを使ったエリザベスカラーの知識と作り方が身につき、いざという時に役立ちます。愛犬の負担を少しでも和らげ、快適な療養生活を送らせてあげるための一つの方法として、ぜひ参考にしてください。
執筆者プロフィール

なお
- 薬剤師兼ブロガー
- 資格:
日本化学療法学会 抗菌化学療法認定薬剤師
日本病院薬剤師会 病院薬学認定薬剤師
一般社団法人薬学教育協議会 認定実務実習指導薬剤師 - 愛犬チワワ:アル(♂)
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タオルで犬のエリザベスカラーを手作りするメリットとは

病院で使用されるプラスチック製のエリザベスカラーは、患部を保護するという点では非常に効果的ですが、犬にとっては多くの不便さやストレスを伴います。それに対し、タオルで手作りするエリザベスカラーには、犬と飼い主双方にとって嬉しいメリットがあります。
〈タオル製エリザベスカラーのメリット〉
愛犬が感じるメリット
- 首周りの不快感軽減
タオルは柔らかく肌触りが良いため、プラスチックが首周りに当たる不快感を軽減できます。
- 視界が比較的良好
タオル製は視界が大きく遮られることが少ないため、不安感を和らげることができます。
- 衝突音がしにくい
プラスチック製カラーが壁や家具にぶつかる時の大きな音は、犬を驚かせ、ストレスを与えます。タオル製では、その心配がなくなります。
- 寝やすい
柔らかいため、枕として使えたり、首周りの圧迫感が少ないため、リラックスして眠れます。
- 食事や飲水がしやすい
プラスチック製カラーは、食器にぶつかって食事や飲水がしにくいことがあります。タオル製では、比較的食事や飲水がしやすいです。
飼い主が感じるメリット
- 家具や壁へのダメージ軽減
プラスチック製では、犬が動き回ることで、家具や壁に傷をつけたり大きな音を立てたりします。タオル製であればその心配はありません。
- 手軽に作れて経済的
急に必要になった時でも、家にある物で手軽に作ることができ、購入費用もかかりません。
- 洗濯できて衛生的
汚れたら気軽に洗濯できるため、清潔な状態を保ちやすいです。
- 犬のサイズや状態に合わせて調整しやすい
タオルの巻き方や厚みを変えることで、ある程度サイズやフィット感を調整できます。
これらのメリットから、特にプラスチック製のカラーを極端に嫌がる犬や、ストレスを感じやすい犬にとって、タオル製のエリザベスカラーは試してみる価値のある選択肢と言えるでしょう。
知っておくべき!タオル製エリザベスカラーの注意点とデメリット

タオル製エリザベスカラーには多くのメリットがありますが、万能ではありません。その効果や安全性には限界があり、使用する際にはいくつかの注意点とデメリットを理解しておく必要があります。
〈タオル製エリザベスカラーのデメリット〉
- 患部の確実な保護が難しい
犬がタオルを外したり、ずらしたりして、患部を舐めたり掻いたりする場合があります。手術後の傷口保護や、重度の皮膚病の場合など、確実な保護が必要なケースには不向きです。
- 形状維持の難しさ・ズレやすさ
犬が動いているうちに形が崩れたり、首からズレてしまったりしやすいです。特に寝ている間や、飼い主さん不在の間にズレてしまうと、保護効果がなくなってしまいます。
- 首周りの通気性・蒸れ
夏場や湿度の高い時期には、首周りが蒸れて皮膚トラブルを引き起こす可能性があります。こまめにタオルの状態を確認し、清潔で乾燥した状態を保つことが重要です。
- 汚れやすさ・洗濯の頻度
食事や飲水、よだれなどで汚れやすいため、衛生的に保つためには定期的な洗濯が必要です。
- 犬によっては嫌がることも
首に物を巻かれることを嫌がる犬もいます。無理強いはせず、徐々に慣らしていきましょう。
- 適切なサイズ・厚みの調整が必要
きついと呼吸が苦しくなり、緩いとすぐに外れてしまいます。タオルが厚すぎると、犬の動きを不必要に制限してしまうこともあります。
- 全ての犬・状況に適しているわけではない
犬の性格、患部の位置や状態、保護したい範囲などによっては、タオル製カラーが適していない場合があります。例えば、顔の前面を保護したい場合には、タオル製では不十分です。
タオル製エリザベスカラーは、あくまで「簡易的な保護」や「ストレス軽減のための代替案」です。
プラスチック製カラーと同等の保護効果は期待できません。使用する際は、これらのデメリットを十分に理解し、愛犬の状態を注意深く観察することが不可欠です。
【写真付き解説】タオルで簡単!犬のエリザベスカラーの作り方

それでは、実際にタオルを使ってエリザベスカラーを作る方法を2つご紹介します。ここでは、特別な道具がなくても比較的簡単に作れる方法を中心に解説します。
〈手作りする際の重要なポイント〉
- 安全性第一
安全ピンを使用する場合は絶対に外れないように、犬が直接触れないようにしてください。 - フィット感の調整
きついと呼吸困難や皮膚の擦れの原因になり、緩いと保護効果がなくなります。指が2本程度スムーズに入るくらいが目安です。 - 保護範囲の確認
作成したカラーを装着させ、犬が患部に口や足が届かないか、実際に確認してみましょう。
準備するもの
- バスタオルまたはフェイスタオル
- ガムテープまたはOPPテープ(梱包用テープ)
- (ハサミ)
- (安全ピン)

シンプルなロールタイプ

個人的には、こちらが簡単かつ外れにくくオススメです!それでは手順を見ていきましょう。
1. 必要なものを準備する
前述したものを準備する。安全ピンはあった方がしっかり固定できて良いですが、なくても問題ありません。
2. タオルを数回折りたたむ
タオルを縦長になるように、数回折りたたみます。折り方は、愛犬の首の長さや、保護したい範囲に合わせて調整して下さい。目安としては、犬が首を曲げても患部に口が届かない程度の高さが必要です。

3. タオルを愛犬の首に巻く
きつすぎず、緩すぎず、指が2本程度入るくらいの余裕を持たせましょう。
4. テープで固定する
タオルの端をガムテープまたはOPPテープで数ヵ所しっかりと固定します。安全ピンを使用する場合は、犬が触れない内側で、先端が布地に隠れるように留めます。

5. 装着状態の確認
装着後、犬が苦しそうにしていないか、きつすぎないか、簡単に外れてしまわないかなどを確認します。
ロールケーキタイプ

こちらは首周りをしっかり固定しないと、活発なわんちゃんでは外してしまうことが多いように感じました。
1. 必要なものを準備する
前述したものを準備する。安全ピンはあった方がしっかり固定できて良いですが、なくても問題ありません。
2. タオルの端から巻く
タオルの短い辺の一方から、クルクルと固めに巻いていき、ロールケーキのような筒状にします。

3. タオルの長さを首に合わせる
出来上がったロール状のタオルを、愛犬の首の周りに沿わせ、長さを合わせます。余分な部分はハサミでカットするか、内側に折り込みます。
4. 輪にして固定する
タオルの両端を合わせ、ガムテープやOPPテープでしっかりと固定し、ドーナツ状の輪を作ります。
5. 装着状態の確認
装着後、犬が苦しそうではないか、首周りのフィット感は適切か、簡単に抜けてしまわないかを確認します。
これらの作り方はあくまで一例です。愛犬のサイズや性格、保護したい部位に合わせて、タオルの種類や巻き方、固定方法などを工夫してみてください。
タオル製の手作りエリザベスカラーを犬に慣れさせるコツ

どんなに柔らかいタオル製であっても、首に何かを装着されることを嫌がる犬は少なくありません。無理強いせず、少しずつ慣らしていくことが大切です。
- ポジティブな関連付け
最初にカラーを見せる時や装着する時は、おやつを与えたり、たくさん褒めたりして、「カラー=良いことがある」とポジティブな印象を持たせましょう。
- 短い時間からスタート
最初は数分程度の短い時間だけ装着させ、大好きなおやつをあげたり、遊んであげたりして気を紛らわせます。慣れたら徐々に装着時間を延ばしましょう。
- 装着中に楽しいことをする
装着中に、軽い遊びやマッサージをしたり、特別なおやつを与えたりするなど、犬が「カラーを付けていると楽しいことがある」と感じるように工夫します。
- 外そうとしたら気をそらす
犬がカラーを気にして外そうとしたり、気にしすぎたりするそぶりを見せたら、おもちゃや声かけで気をそらしましょう。叱るのは逆効果です。
- 食事や睡眠時も様子を見る
食事や水を飲む際に邪魔になっていないか、眠る時に不快そうにしていないかなどを確認し、必要であれば形状やフィット感を調整します。

嫌がっている時は、あまり無理強いしないでね



あまりにも嫌がる場合は、市販にも柔らかくて着け心地の良いものがあるから、それらを検討しよう!
どんな時にタオル製エリザベスカラーが有効?


タオル製エリザベスカラーは、その特性から、全ての状況に適しているわけではありません。どのような場合に有効な選択肢となり得るのでしょうか?
有効性が期待できるケース
- 軽い皮膚炎やアレルギーで、患部を「少し舐める・掻く」のを防ぎたい場合
犬がそれほど執拗に患部を気にしているわけではなく、ちょっとした舐め癖や掻き癖を一時的に抑制したい場合に有効なことがあります。
- 目の周りや顔の一部など、ピンポイントな保護が難しい場合
ロールケーキタイプなどは、顎の下にボリュームを持たせることで、顔の前面をある程度保護できます。
- プラスチック製カラーへの拒否反応が非常に強い場合
プラスチック製カラーを付けるとパニックになったり、動かなくなったり、食事も水も取らなくなったりする犬に、負担の少ない代替品として検討できます。
- 短期間の保護や、飼い主が見ていられる時間帯の保護
例えば、塗り薬を塗った後、薬が浸透するまでの短時間だけ舐めさせたくない場合や、患部を気にしたらすぐに注意できるような状況での使用。
- 就寝時のストレス軽減
日中は確実な保護のためにプラスチック製カラーを使用し、飼い主さんと一緒に寝る時だけ、少しでもリラックスできるようにタオル製に切り替える。
不向きなケース・使用を避けるべきケース
- 手術後の傷口保護
傷口を舐めると感染や縫合不全のリスクがあり、絶対に避けなければなりません。タオル製では保護が不十分なため、必ず医療用カラーを使用してください。
- 皮膚病やアレルギーで、激しいかゆみがある場合
犬が我慢できずに、タオルをものともせず患部を掻きむしってしまう可能性が高いです。
- 自傷行為がある場合
ストレスなどから自分の体を傷つけてしまう犬の場合、より確実な保護が必要です。
- 飼い主の留守中など、長時間目を離す場合
ズレたり外れたりして、患部を保護できなくなるリスクが高いため、オススメできません。
- 非常に器用な犬や、破壊行動のある犬
簡単にタオルを外したり、噛みちぎったりしてしまう可能性があります。
市販の柔らかいエリザベスカラーのメリットとオススメ3選!


「手作りも良いけど、もっとしっかりしたものが欲しい」
「洗濯の手間を考えると、いくつか既製品も持っておきたい」
そんな方には、市販の「柔らかい素材のエリザベスカラー」もオススメです。近年では、犬のストレス軽減に配慮した様々なタイプの製品が販売されています。
〈市販品を選ぶメリット〉
- 手作りよりも形状が安定しており、耐久性も高い製品が多い。
- 犬のサイズや用途に合わせて、様々なデザインや機能性のものを選べる。
- 洗濯やお手入れがしやすい。
【Dog Garden】 エリザベスカラー 猫用犬用
- サイズはS、M、L、XLの4サイズ、色はイエロー、ピンクの2種類
- もっちりとした心地よい手触りで、柔らかいので枕にして寝ることができる
- 撥水素材で水を弾く
- 頭からスポッと被せるだけ。首周りのサイズはヒモで微調整ができる
- 洗濯機でも洗え、通気性が良くすぐに乾く
〈Amazon、楽天市場の口コミまとめ〉
- 柔らかいので、傷口に届いてしまうか心配でしたが、大丈夫でした。
- 愛犬も嫌がらずに、ご飯も水もしっかり食べ飲みできています。
- 服に慣れている犬なら簡単に着れます。
- 小さめなので、やや大きめのサイズを買った方がいいかも。
【SuplutuX】エリザベスカラー 犬 猫
- サイズはS、M、Lの3サイズ、色はイエローの1種類
- 空気を吹き込んで使用する浮き輪タイプ
- 丈夫な金属バックルとマジックテープで愛犬にピッタリのサイズに調整できる
- 軽量タイプなので、わんちゃんの負担が減る
- 引っ掻きと傷舐め防止の他、高齢犬の転倒時の保護にも役立つ
- 取り外して洗えるだけではなく、噛み傷が付きにくい
〈Amazon、楽天市場の口コミまとめ〉
- ふわふわと柔らかいので、付けたまま気持ち良さそうに昼寝をしていました。
- 水やご飯が食べづらいということもこれではなさそうです。
- 装着も簡単で、傷部分には届かないようで安心しました。
- 若干小さく、患部に届いてしまいました。大きいサイズだと問題なさそうです。
【WZ PET】柔らかい エリザベスカラー 猫用 小型犬用
- サイズはS、M、Lの3サイズ、色はピンク、ブルーの2種類
- 柔らかく、軽量で通気性があり、オールシーズン使用できる
- 周辺を確認し、取り付けたまま飲食ができる
- 引っ掻き傷や咬傷に強い
- マジックテープになっており、サイズ調整・取り付けが簡単
- 洗濯機で洗っても変形しない耐久性
〈Amazon、楽天市場の口コミまとめ〉
- マジックテープもバリバリのやつではなく毛が絡まりにくい特殊なテープで良さそう。
- 硬いと過ごしにくそうでしたが、これに変えてからくつろいでいます。
- こちらに変えてからは動き回ることも増えて、買って良かったです。
- マジックテープに抜け毛が付いてなのか粘着力が弱くなっていきます。短毛種なら大丈夫かと。
手作りと市販品、それぞれのメリット・デメリットを理解し、愛犬の状態や性格、飼い主さんのライフスタイルに合わせて、最適なものを選びましょう。
まとめ:愛犬のストレスを和らげる工夫の一つとして


今回は、犬用のエリザベスカラーをタオルで手作りする方法や、そのメリット・デメリットについて詳しく解説しました。
- タオル製エリザベスカラーには、犬のストレス軽減、食事のしやすさ、手軽さなどのメリットがある。
- 患部の確実な保護が困難、ズレやすい、通気性が悪いなどのデメリットもある。
- 作り方は簡単だが、安全性とフィット感、保護範囲の確認が非常に重要。
- 慣れさせるには、ポジティブな関連付けと、焦らない姿勢が大切。
- タオル製カラーは、軽い皮膚トラブルや、プラスチック製を極端に嫌がる場合の代替案として有効だが、手術後の傷口保護など確実な保護が必要な場合には不向き。
- 市販の柔らかいエリザベスカラーも有効な選択肢となる。
エリザベスカラーは、愛犬にとって決して快適なものではありません。しかし、治療や回復のためには必要な期間、我慢してもらわなければならないこともあります。そんな時、タオル製の物では少しでも愛犬の負担を和らげ、ストレスを軽減してあげられる可能性があります。
タオルを使った手作りエリザベスカラーは、その愛情を形にするための一つのアイデアです。万能ではありませんが、状況によっては、愛犬と飼い主さんの双方にとって、より穏やかな療養期間を過ごすための助けとなるかもしれません。
この記事が、あなたの愛犬のケアに少しでもお役に立てれば幸いです。
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