チワワは、スムースコート・ロングコート共に抜け毛が多い犬種と言われています。飼う前に覚悟はしていたものの、必ず一度は悩まされるのが抜け毛ですよね。
- 愛犬の抜け毛が急に増えた…本当に大丈夫?
- チワワの抜け毛が多くて困っているのだけれど、減らす方法を教えて欲しい
- 部屋中抜け毛だらけで掃除をするのが大変…オススメのお掃除グッズが知りたい
このような皆さんのお悩みを『論文のデータを基に』一つずつ考えていきたいと思います。
他では中々紹介されていない根拠のある内容を基に解説するので、ぜひ今後の生活にお役立てください。
この記事では、
- チワワの被毛の特徴と抜け毛の原因
- チワワの抜け毛を減らすお手入れ方法と対策
- チワワの抜け毛に効果的なお掃除グッズ
を解説しています。
執筆者プロフィール

なお
- 病院薬剤師(8年)→薬局薬剤師(1年)→フリーランスとして活動開始
〈資格〉
日本化学療法学会 抗菌化学療法認定薬剤師
日本病院薬剤師会 病院薬学認定薬剤師
一般社団法人薬学教育協議会 認定実務実習指導薬剤師 - ペット飼育初心者だったが、2018年にチワワのアルに一目惚れし、お迎え
- プロフィールの詳細はこちらから
チワワの被毛の特徴
被毛の長さ
種類 | ロングコート | スムースコート |
見た目 | ![]() | ![]() |
被毛の長さ | 長い | 短い |
毛質 | ふさふさしてて柔らかい | なめらかでツヤがある |
トリミング | 一部必要 (肛門、お腹周り) | 原則不要 |
ブラッシング | 必要 | 必要 |
チワワの被毛の長さの種類には、ロングコートとスムースコートの2種類があります。
ロングコートチワワとスムースコートチワワの間で、性格には大差はないと言われています。また、ロングコートチワワは、スムースコートチワワに比べて寒さに強いと思われがちですが、チワワは寒さに弱い犬種のため、どちらの種類であっても寒さ対策は必要になります。
被毛のタイプ
種類 | ダブルコート | シングルコート |
構造 | 二層 (保護毛と下毛) | 一層 |
換毛期 | 主に春と秋 | 1年を通して生え替わる |
抜け毛 | 多い | 少ない |
特徴 | 毛玉ができやすい | 夏場の紫外線対策が必要 |
チワワの被毛タイプには、ダブルコートとシングルコートの2種類がありますが、日本にいるチワワのほとんどがダブルコートになります。見分け方のポイントは、被毛をかき分けた時の毛の密度と層になります。
シングルコートは、一層の被毛で覆われており、手触りがなめらかで密度が薄いのに対し、ダブルコートは、二層の被毛で構成されており、ふんわりとした下毛が密集しているのが特徴です。
チワワの抜け毛の原因
換毛期によるもの
ダブルコートのチワワには、被毛が生え替わる『換毛期』が年2回あり、主に春(5月〜7月)と秋(9月〜11月)が換毛期と言われています。春の換毛期は、下毛が抜け冬毛から夏毛へ生え替わる時期で1年を通して最も抜け毛の多い時期になります。秋の換毛期には、寒さに備えて夏毛から冬毛へ生え替わり下毛が生え始めます。
換毛期に抜け毛が多くなることは、生理的な反応のため、心配することはありません。
対して、シングルコートのチワワには『換毛期』は存在せず、1年を通してゆっくりと毛が生え替わります。そのため、ダブルコートのチワワに比べ、抜け毛は少ないと言われています。
病気によるもの
換毛期によるもの以外の原因として、病気によるものがあります。以下のような病気では抜け毛が多くなる可能性があるため、いつもと違う症状が見られたらすぐに獣医師へ相談して下さい。
〈抜け毛が見られる病気〉
- 副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)
- 甲状腺機能低下症
- アレルギー性疾患
- 皮膚炎
- ストレス性脱毛症
- 栄養欠乏
【論文より】
長期的な必須脂肪酸や亜鉛の不足が、脱毛症を引き起こすことは論文でも示されています。また、タンパク質、脂肪、ビタミンA、銅、セレン、ヨウ素、ポリドキシン、葉酸も被毛に影響を与える重要な栄養素であることが分かっています。注1
栄養価の高いドッグフードを摂取することが抜け毛の予防にも繋がるので、必ず栄養価の高いドッグフードを与えるようにしましょう。
【論文から紐解く】チワワの抜け毛を減らす日常のお手入れ方法

論文から考察される、チワワの抜け毛を減らす日常のお手入れ方法には以下の2つが考えられます。
- グルーミングスプレーを適量噴霧し、ブラッシングを行う
- ブラッシング後に、ボディシートまたはマイクロファイバー製の乾いたタオルで拭き取る
【論文1】注2
論文での実験手順は、以下の通りに進められています。
- 尾椎を中心に左右に分け、左側面を水分噴霧なし、右側面を水分噴霧ありの条件で、布の上でラバーブラシによりブラッシングを行う
- 布の上に抜け落ちた被毛を全て回収し、本数を計測する
結果として、ブラッシング時に被毛への水分噴霧を実施した方の脱毛量が増加していたことが分かりました。
以上より、グルーミングスプレーを噴霧し、ブラッシングを行うことで、部屋へ落ちる抜け毛を減らすことができると考えられます。
噴霧する水分量が多すぎると水分が潤滑効果に働き、ラバーブラシと被毛の摩擦力が落ち脱毛量増加の効果を得るために相当数のブラシのストローク数が必要となります。つまり、濡らすのではなく湿らす程度の水分噴霧が最も有効であると言われています。
【論文2】注3
論文での実験手順は、以下の通りに進められています。
- 実験前日にシャンプーを行う
- 当日実験直前にラバーブラシによる全身ブラッシングを行う
- 10分間ゲージ内で静置する
- 1. ラバーブラシによるブラッシングを行う
2. ボディシートによる清拭を行う
3. マイクロファイバー製の乾いたタオルによる清拭を行う
上記の動作を同一の犬で別日に行った - 犬が伏せることのできるクレートで30分待機させ、落下した被毛を回収し、本数を計測する
結果として、ボディシートとマイクロファイバー製の乾いたタオルによる清拭では、ブラッシングに比較して抜け落ちた被毛量が少ない傾向が見られました。
以上より、ブラッシング後にボディシートまたはマイクロファイバー製の乾いたタオルで拭き取ることで、部屋へ落ちる抜け毛を減らすことができると考えられます。
つまり、ボディシートでは、被毛に適量の水分で湿り気を与えたことで、清拭時の抜け毛の数が増加し、その毛がシートに付着したことで、床に落ちる毛が減少したと考えられています。
また、マイクロファイバー製のタオルは、繊維が髪の毛の100分の1程度の細さで、繊維断面が角ばっているため一般的な繊維に比べて多くの水分を吸収することや、汚れや細かいホコリをかき取る性能に長けています。このような特性上、清拭をした際に抜けた被毛が絡んで落ちにくくなり、クレート内に落下する被毛量が少なくなったと考えられています。
※以上2つの論文は、実際にチワワを実験対象とした検証ではありませんが、結果内容から犬種によって大きな差がないと考え今回解説しています。
併せて行うべきチワワの抜け毛を減らす日常のお手入れ方法

定期的にシャンプーを行う
健康なチワワでは、月に1〜2回程度の定期的なシャンプーを行うことで、抜け毛を減らすことができます。
また、皮膚の汗や汚れを落とすことにより、皮膚トラブルの予防や体臭の改善効果も期待できます。

抜け毛対策に毎日シャンプーするのはどう?



頻繁にシャンプーをするのは逆に皮膚トラブルの原因になるよ
頻繁なシャンプーは、皮膚を守るのに必要な皮脂まで洗い落とし、細菌やアレルギー物質などから守ってくれる皮膚バリア機能の低下に繋がります。それにより免疫力が落ちて病気にかかりやすくなってしまいます。
また、ジャンプー後に生乾きのままだと細菌が繁殖し、臭いの原因となったり皮膚トラブルを引き起こす可能性があるため、しっかりと乾かすようにしましょう。
ファーミネーターを使用する
ファーミネーターは、ペットの不要な下毛を除去することに特化し開発されたブラシです。
チワワの場合は、週に1回、1回3〜5分を目安に行いましょう。また、子犬は皮膚が弱く、傷付けてしまう可能性があるため、生後9ヵ月頃からの使用がオススメです。
〈ファーミネーターの正しい使い方〉
- ファーミネーター使用前にスリッカー、ピンブラシ、コームなどで毛玉やもつれを取り除く
- ファーミネーターを使用して、毛並みに沿って優しくブラッシングを行う
- 歯に溜まった毛を、プッシュボタンで取り除く
洋服を着せる
チワワに洋服を着せることにより、部屋の中に抜け毛が落ちることを防ぐことができます。
ただし、長時間着させていると皮膚が蒸れてしまい、皮膚トラブルの原因となります。そのため、長時間の不在等でお留守番してもらう時は脱がせるなど長時間着させないよう注意しましょう。
チワワの抜け毛に効果的なお掃除グッズ
ぱくぱくローラー


カーペットやソファに落ちたチワワの抜け毛掃除に最も効果があったのがこれ!
カーペットやソファにぱくぱくローラーのローラー面を当てて前後に動かすだけでごっそり抜け毛が取れます。
〈ぱくぱくローラーのメリット〉
- チワワの抜け毛掃除に効果的
- コロコロと異なり消耗品ではない
- 水洗いが可能
ただし、使用ができない箇所もあり注意が必要です。
〈ぱくぱくローラーが使用できない箇所〉
- タイルやフローリングなど硬く滑らかな場所
- 毛足が極端に短い繊維類
- 水や油で湿った場所
- 衣類


カーペット1枚分を掃除した後に取れたチワワの抜け毛がこちらになります。価格も1,760円と安価のため、ぜひ購入して試してみて下さい。
ぱくぱくローラーを実際に使用したレビューや販売店・最安値などはこちらの記事で紹介しています。


粘着カーペットクリーナー(コロコロ)


上記で説明したぱくぱくローラーで掃除ができない箇所は、コロコロがオススメです。特に衣類などは、ぱくぱくローラーや掃除機でも吸い取ることが難しいのでコロコロを使用して掃除をするようにしましょう。
私は、旅行やお出かけで外出する際には、携帯用衣類クリーナーを持ち歩いています。小型の割に機能面では通常のものと変わらず、とても利便性がいい商品ですね。
私は、無印良品のものを使用しており、Amazonでも購入可能なため、使用してみてはいかがでしょうか。
ロボット掃除機
フローリングを広範囲に掃除する場合には、ロボット掃除機がオススメです。
ロボット掃除機は、完全に自動で行なってくれるため、毎日の掃除時間を短縮できます。また現在では、カーペットや畳などを認識してフローリングのみを水拭きしてくれるものや端までしっかり掃除してくれる機能を持つものもあるため、チワワを飼っている方にとっては必需品とも言えます。
空気清浄機
空気清浄機の種類によっては、チワワの抜け毛を吸引したり、ウイルス・花粉・ペットのフケなどを除去できます。また、臭いの軽減について効果が実証されているものもありますが、脱臭・除菌機能を求めるのであれば、空気清浄機ではなく、次亜塩素酸 空間除菌脱臭機である『ジアイーノ』がオススメです。
加湿空気清浄機とジアイーノについての比較・解説については、こちらの記事で解説しています。


まとめ
今回の記事のまとめです。
- チワワは、被毛の長さとタイプによって4つに分類される。
- 抜け毛の原因には、換毛期によるものと病気によるものがある。
- 被毛に適量の水分を湿らせてブラッシングをすることが抜け毛の対策に効果的。
- ブラッシング後にボディシート、マイクロファイバー製タオルでの清拭も対策として有効。
- 併せて日常的にお手入れを行うことで、抜け毛を減らすことが可能。
- 抜け毛のお掃除には、ぱくぱくローラーが最もオススメ。
本記事では、チワワの抜け毛を減らす日常のお手入れ方法と対策について論文を基に解説してきました。
チワワの抜け毛にお悩みの方に対して、この記事が一つでもお悩みを解決できる手助けになれば幸いです。
チワワの「3mm」のサマーカットの危険性に関しては以下の記事で詳しく解説しています。カットも抜け毛対策の一つになりますが、短すぎるカットは愛犬の健康にも影響するので、ぜひ確認して知識を身につけて下さいね。
【危険?】チワワのサマーカット「3mm」は大丈夫?メリット・デメリットを徹底解説
参考:
注1) 百田 豊,2012,「痒いところに手が届く皮膚病の検査 — 被毛と毛周期に関する基礎知識」,ペット栄養学会誌 15(2):104-110,(2025年1月30日取得)
注2) 福山 貴昭,秋山 恵美,山﨑 薫,二宮 義博・他,2010,「ブラッシング時のイヌ被毛への水分噴霧がおよぼす影響」,日本補助犬科学研究 Vol.4 No.1,(2025年1月30日取得)
注3) 水越 美奈,小野沢 栄里,江島 まどか,渡邊 和希,2022,「日常の被毛の手入れ方法による抜け毛量の比較」,日本補助犬科学研究 Vol.16 No.1,(2025年1月30日取得)